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第23話  

聡、そんなのいやだ。

私は小さい頃からずっと、ただ、あなたが自由で幸せに生きてほしいと願っていただけ。私のせいで、あなたを妨げるなんて望んでいなかった。

こんな形で、自分の未来を壊さないで。

こんな恐ろしい人にならないで。

「夕星、お前は決して俺の重荷なんかじゃない。お前は俺の家族なんだ、この世で唯一の家族。」

「お兄ちゃんが無能だった。お前をちゃんと守れなかった。でも星ちゃん、怖がらないで。お兄ちゃんはすぐにそばに行くから」

「お兄ちゃんは約束したよね、一生お前のそばにいるって。お前を守るって」

手術用メスが肉を切り裂いたとき、私は叫び声を上げた。

彼を止めようと飛びかかったけど、何もつかむことができなかった。

私はただ、目の前で聡が自分の胸腔を切り裂いていくのを見ているしかなかった。

激痛に耐えかね、彼は次の動作ができず、うめき声を上げた。

「こんなに痛いんだね」

彼は笑って、自分に麻酔を打った。

そして再び胸腔を切り裂き始めた。

血まみれで、まるで悪鬼のようだった。

それがどれくらい続いたかはわからない。

痛みで彼は本能的に自分を守るために手を止めたが、再び動き始めた。

そうやって、何度も何度も繰り返された。

私は目を大きく見開いて、いつの間にか涙が止められずに次々とこぼれ落ちていた。

「お兄ちゃん、もうやめて。お願いだから、やめて!もうわかったよ、全部わかった。お兄ちゃんを責めてなんかいない。本当に許したから。お願いだから、やめて!」

亡霊の涙が、ぽたぽたと聡の顔に落ちた。

彼の顔に喜びの表情が浮かんだ。

「星ちゃん、俺は幻覚が見えたのかな?お前が見えた気がするよ。」

「俺のこの姿、醜いかな?」

「星ちゃん、お兄ちゃんはもうかっこよくないよ。この姿じゃ嫌いになった?」

私は首を振り、手で合図をした。

「いいえ、星ちゃんにはお兄ちゃんしかいない。星ちゃんはお兄ちゃんが大好き。何度生まれ変わっても、ずっとお兄ちゃんが好き」

「お兄ちゃんも星ちゃんが大好きだよ」

聡は苦労して手を伸ばし、私の頭を撫でようとした。

でも、彼が触れたのは虚空だけだった。

彼はがっくりと手を下ろし、腐りかけた私の頭を最後に一瞥した。

「星ちゃん、俺はお前に申し訳ないこと
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